音楽を10倍楽しく「聴く」ための10個の豆知識

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※この記事は長文です。序章を含めると全11項目あります。一気にお読みいただいてもいいですが、ブックマーク登録をし、分割してお読みいただいた方がいいかも知れません。


はじめに

私は趣味でパソコンやシンセサイザーを使った音楽制作をしているのですが、曲を作ることを繰り返すうちに、知らず知らずのうちに音楽を深く聴く力が向上し、そのことで、「音楽を聴く楽しみ」がどんどん大きくなっていきました。

音楽を聴いて「心地よい」「癒される」「元気がでる」「感動した」などの感情にとどまらず、「なるほど! そうきたか!」と脳が喜ぶ感覚を味わえるようになり、作曲をはじめる前と比較して、音楽を「聴く」楽しみは10倍以上になりました。

音楽の演奏や作曲などを本格的に学び、実践された方は、同様のご経験をされている方も多いことと思います。

音楽の知識に関しては、ピアノなどの音楽教室に通ったり、吹奏楽部やバンドなどの経験、あるいは音楽大学などを卒業された方でなければ、一般的な学校の義務教育で習う「音楽」の授業で得た知識だけという方も多いのではないでしょうか。

音楽の授業では、童謡やクラシックの代表的な曲などを題材にしながら、合唱やリコーダー、鍵盤ハーモニカなどの演奏を通じて、音楽の概要を学びますが、現在皆さんが最もお聞きになるポピュラー音楽について得られる知識は少ないように感じます。

そのため、ポピュラー音楽については、楽器や曲の構成、ジャンルなどの知識はあまりないままに、感覚的に好きなバンドや流行のアーティストの音楽を聴くというスタイルが一般的となっているようです。

もちろん、アーティストが奏でる「音」だけではなく、ヴィジュアルやキャラクター、歌詞の内容も含めて魅力を感じファンになるわけですから、深い音楽の知識は特に必要ないですし、聴きたい音楽を好きなだけ聴けばそれで十分に満足感が得られるでしょう。

そのように、音楽というのは、何も考えずに聞いても、当然に楽しめるわけですが、そのときに少しでも専門的な知識があれば、さらにいろいろな楽しみ方ができます。

しかしながら、音楽を「作るため」や「演奏するため」の知識を得るための手段はたくさんありますが、「聴く」ことをもっと楽しむための気軽な知識というのは、あまり語られてこなかったように思います。

そこで、一般的な音楽のリスナーの方々が、より音楽を楽しむために意識しておくとよいと思えるポイントをこれからご紹介しますので、その内容を少しでも意識しながら、音楽をちょっとだけ深く聞きこむことで、新しい発見につながり、音楽を「聴く」ことを今まで以上に楽しんでいただくための一助となればうれしい限りです。

噛んだらどんどん味がなくなる「ガム」ではなく、噛めば噛むほど味がでる「スルメ」のような聴き方ができるようになってくると、音楽通に少しずつ近づいてくるはずです。

豆知識1 まずは、音を構成する要素、個々の楽器を意識してみる


ボーカルはもちろん、ドラム、ギター、ピアノなどの代表的な楽器音は、聴いた瞬間に奏でた楽器が何であるか、しっかりと認識できると思います。

しかし、音楽を聞いていて、よくわからない楽器音が鳴った場合、その音が何の楽器であるかを調べることは普通はしませんし、「何かの楽器の音だろうな」くらいの感覚で、気にも留めないことが多いでしょう。

この「よくわからない楽器音」がどんどん増えてくると、音楽を聞くことがだんだんと受動的になりがちですし、もしかしたら一部はストレスになっているかもしれません。

「よくわからない楽器音」の代表的なものは、シンセサイザー系の音ですが、シンセサイザーを使えば作り出せない音はない、というくらいに多種多様な音が出せますので、ピコピコしている音や神秘的な音など、人工的だなと感じる音は、たいていの場合、シンセサイザーの音であることが多いです。

また、後述しますが、ギターも多彩な音を奏でることができます。特にエレクトリックギターは、エフェクターと呼ばれる機材を使用することで、歪んだリード系の音から、クリーンでさわやかな音など、様々な音色を作ることが可能ですので、ライブ映像などでギタリストに注目して聞いていると「あっ、この音もギターの音なんだ!」というような発見ができるはずです。

その他の楽器についても、一般的に知られていない演奏法や音色が様々ありますので、そのような「よくわからない楽器音」を少しずつ減らしていき、音を聞いたときにそれぞれの楽器が奏でられている様子が目に浮かぶようになれば、「音が見える」状態となり、音楽を聞く楽しみが飛躍的に大きくなると思います。

さらに、それらの音について、人間が弾いているのか、コンピューターで自動演奏されているのか、そして、自然の音なのか、電子音や加工した音なのかが聞き分けられると、音楽の像・輪郭がはっきりしてきますので、音を塊(かたまり)として曖昧にとらえられていた状態を脱し、ピントが合い、鮮明に聴こえるようになり、音を「理解しながら聴く」というとても気持ちのいい状態になります。

しかし、それぞれの楽器音がどのような仕組みで鳴らされているかについては、CD等の音源を耳で聴くことだけでは、全てを解明することはもちろんできませんし、する必要もないでしょう。

なぜなら、音楽を聴く場合に、それぞれの楽器音がどのような仕組みで鳴らされているかを意識しながら聴くこと自体に意味がありますので、それぞれの音を全て解明することが目的ではないからです。

ギターだけとかドラムだけとか、一つの楽器のみの音を独立して聴いてみることで、それぞれのパートが優れた演奏をしていることに気づかされますし、また、全体としてのアレンジの素晴らしさにも改めて気づくことで、同じ音楽でも音の解像度が上がったかのようにクリアに聴こえるようになり、音楽を受け身で聴いていたときには感じられなかった「音」が聴こえてくるようになるでしょう。

豆知識2 作曲とは一般的にどのような工程で行われているのか


通常、作曲とはメロディーラインの作成を指し、ドラムスやギターなどのその他の構成要素の制作については、編曲(アレンジ)とよばれます。

しかし、この項でいう作曲とは、いわゆるメロディーライン(主旋律)の作成だけでなく、曲の構成要素すべての制作過程についてのことを指しているとお考えください。

現在は、作曲をコンピューターで行っている作曲家・アレンジャーがとても多いことから、作曲と編曲を同時に進めるクリエイターが増えてきました。

コンピューターを使った作曲のメリットとしては、ほとんどの楽器音がすでに音源としてデータ化されているため、各パートの演奏家に演奏してもらわなくても、コンピューター内だけで曲のイメージが高いレベルで再現できることです。

人間が演奏しないのに、どうやって、ドラムやベース、ギターなどの音を鳴らすのかといいますと、楽譜をコンピューター上に書いたり、数値を指定したりする場合もありますし、鍵盤などでリアルタイムに演奏しながらレコーディングする場合もあります。

例えば、鍵盤の「ド」の音にバスドラムの音、「レ」にスネアドラムの音、「ミ」にシンバルの音…などを割り当てて、鍵盤上にドラムセットを作り、録音しま す。YouTubeで、「キーボードドラム」というような語句で検索すれば、鍵盤でドラムを演奏している動画が多数アップされていますので、参考になると 思います。

その他のベースやギター、オーケストラなどの管弦楽のアンサンブルや、民族楽器にいたるまで、ありとあらゆる楽器音が本物と間違うような高いクオリティで収録されています。

コンピューターを使った作曲といっても、その利用方法は様々で、リズムとメロディーに簡単なコードを付け加えたデモ曲を作るだけの人もいれば、きゃりーぱ みゅぱみゅやPerfumeの音楽制作を担当している中田ヤスタカさんのように、CDに収める楽曲データを全て自身で完成させてしまうような人もいます。

中田ヤスタカさんは、コンピューターだけでほとんどの楽器音を鳴らし、録音したボーカル音の加工もコンピューター内で完結させ、ミキシングやマスタリングといったエンジニア的な仕事も全てご自身でこなしているそうです。

なお、コンピューター上では楽曲をそんなに作りこまずにデモ曲を作っただけの場合は、それだけでは楽曲として完成しませんので、アレンジャーの人にアレンジを依頼したり、各楽器の演奏者にイメージを伝えて、アレンジを創る作業が必要になります。


豆知識3 「レコーディング」を知れば音にもっと興味がでてきます


私たちが耳にするCDなどの音源は、ライブレコーディングなどを除いては、ほとんどがスタジオで録音されています。この録音の過程をレコーディングと呼ぶことはすでにご存じでしょう。

しかし、レコーディングだけですぐにCDが完成するのではなく、レコーディングの後、ミキシングやマスタリングの過程を経て、CDなどに収める音が完成します。

ミキシングやマスタリングとは、簡単に言えば、各パートの音を一つにまとめ、音質を整え、雑音などを極力省きながら、音楽として完成させる作業です。

レコーディングは、一部例外はありますが、ほとんどの場合は、単独のパートごとに録音し、バンド形式の場合は、リズムトラック(ドラムなど)から録音されます。

ドラムだけが演奏している光景というのは、ミュージシャンにとっては当たり前でも、一般的なリスナーから見ると一種異様な光景に映るのではないでしょうか。

スタジオレコーディングの場合も、ライブのように全員で一斉に演奏し録音してしまえばよさそうなものですが、なぜ、各パートごとに録音をするのでしょうか。

それは、必ずしも全てのバンドメンバーが常にベストテイクとなるわけではありませんから、まず、リズムを奏でるドラムの録音が完全にOKになった後、ベースなどの次のパートを録音しOKとなったら次のバート…、というように、ベストテイクにさらにベストテイクを重ねて録音していくほうが、全員で一斉に演奏して、全員のベストテイクが揃うまで繰り返すよりも効率的ですし、なにより心理的プレッシャーが少なくなると思います。

また、各パートごとに録音することによって、スタジオの規模が小さい場合などに発生する楽器間の音の干渉を避けることもできます。

録音した音は、レコーディングエンジニアなどの手により、レベル(音量)や音質、音響効果などが施されることはもちろん、音程補正、リズム修正、ミス部分の一部差し替えなど、自由自在に修正が可能です。男性の声を女性の声に変化させることなどもさほど難しくないですから、CDの音とはレコーディングの音そのままではなく、その後いろいろな手を加えて、丹念に作りこまれた「音の芸術品」といったところでしょう。

しかしながら、レコーディングした音に対して、加工や修正などを多用しCDに収めた場合、問題となってくるのはライブでの再現性です。

ライブのときにCDのような音が再現できなかったり、演奏が未熟であったりして、期待外れのライブを経験された方も多いのではないでしょうか。

そのため、ライブのことを考慮しながら、CDとしての完成度を上げなければならないため、音の加工や修正については、絶妙なバランス感覚も含め、高度な技術が要求されます。

豆知識4 そもそも「コード」って何?


コード(和音)については、その存在を知っている人はとても多いと思います。しかし、それが、何を意味し、どのような役割を担っているかを知っている人は少ないのではないでしょうか。

コードとは、原則的に3つ以上の音を同時に鳴らした場合の音の響きで、「Am(エーマイナー)」のように、コードネームで表記されます。

コードはスケール(音階)の中から音を抜き出して積み重ねたものでもあるため、スケール(音階)を凝縮し、端的に表したものともいえます。

例えば、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の音階は、ハ長調(Cメジャー)の音階ですが、この音階には、「C(シーメジャー)」のコードの要素「ド・ミ・ソ」が含まれています。

「C(シーメジャー)」のようなメジャーコードは明るい雰囲気の音となり、「Am(エーマイナー)」のようなマイナーコードは、暗い雰囲気を醸し出す音として使われていることを、ご存知の方は多いことと思います。

そのように、コード自体にも曲の雰囲気を決定する要因があるのですが、コードには、もう一つ大切な要素として「コード進行」が挙げられます。

コード進行とは、文字通り、どのコードから、どのコードへ向かうかという、コードの順番のことです。

これは非常に重要で、コードトーンを聞いただけでは、いまいちピンとこないコードでも、コード進行の中に含まれると、全く印象が変わり、とても重要な役割を果たすことがあります。

では、普段、曲を聴くときに、どのようにコードを意識すれば、音楽をより楽しめるのでしょうか。

コードは、複数音の和音ですので、単音のメロディー(主旋律)からは、感じ取ることは難しいです。

わかりやすいのは、ピアノなどの鍵盤楽器や、ギター、それにストリングス(弦楽器のアンサンブル)などの音から、コードトーンが感じられます。

そして、一般的には、1小節ごとにコードが変化することが多いので、1拍目に注意を払って聞いていると、コードが変化していることがわかります。例えば、4分の4拍子の場合なら、「イチ・ニ・サン・シ」の「イチ」の部分に注意していると、コードトーンが変化しながら、曲が進行していることがわかると思います。

もちろん、コードは1小節ごとに変わるという規則ではありませんから、小節内で頻繁にコードが変わることもありますし、逆に、一つのコードが何小節も続く曲もあります。

なお、お持ちの楽曲の楽譜がある場合は、コード進行が簡単にわかります。もちろん、楽譜が読める必要はありません。通常ポピュラー音楽の楽譜には、上部にコードネームが「Am」「Dm7」のように表記され、下部には歌詞が表記されていると思います。

そのため、歌詞をたどりながら該当の楽曲を聴き、同時にコードネームの記載を確認すれば、コードが変化するポイントがわかります。

コードが変化するポイントで、和音を奏でる楽器に注意して聴くと、コードトーンの変化とともに、曲が盛り上がったり、落ち着いたり、曲調の変化が感じられるはずです。


豆知識5 ベースの音は実際のところ何のためにあるのか?


ここでは、主にポピュラー音楽で多用されているエレクトリックベースについて、考えてみたいと思います。

音楽番組などで、バンドが演奏している様子をご覧になったとき、ギターやドラムの音はしっかり聞こえても、ベースの音がどの音かわからないという方は多いのではないでしょうか。

その場合、正確に言えば聞こえないのではなく、うまく聞き取れていないということだと思われます。

ベースにもいろいろな音の種類や演奏法がありますので、聞き取りやすいベース音と聞き取りにくいベース音があります。

ベースの音は、ご存知の通り低い音ですが、そのような低周波の音は、音としてはとても大きな部分を占めた場合でも、空気のような存在であるため、その音を判別しにくいという特徴があります。

また、バスドラム(ドラムセットの足元にある大きな太鼓)と音がシンクロすることも多いため、さらに存在感が薄れているのかもしれません。

そういう理由から、「聞こえていない」のではなく、音として「認識できていない」状態が発生しやすいのがベースの音です。

では、そんなに聞き取りにくいベースの音なら、あまり重要ではないようにも思えますが、それは全く逆で、非常に重要度が高いのがベースの音です。

ベーシストは、コードのルート音(Amの場合はA(ラ)の音)を基準に演奏します。

低音部でコードのルート音を鳴らすことが重要で、低音部の音はその特徴として、バンドの音全体を包み込むような効果があり、音の基準を示し、楽曲を根底から支えています。

逆に、高い音でコードのルート音を1音鳴らしたとしても、メロディーの一部のように聞こえてしまいますし、高い音なので聞き取りやすいのですが、バンドの音全体に対する影響力は小さく、コードトーンからなる曲の方向性を引っ張ることは難しいです。

そのため、ベースが全く違った音を奏でてしまうと、結果としてコードが変更されることとなり、その上に乗っかっている他の楽器音すべてに大きく影響し、曲調がガラリと変わってしまいます。すなわち、ベースが音程を間違えた場合、ベースの間違いというより、その他のパートが間違っているかのように聴こえてしまいます。

また、ベースの音は通常は目立たないのですが、曲のイントロ部分や間奏で効果的に使われている場合もあり、高音域を使い、メロディックに歌うようなフレーズを奏でていることもありますので、ベースの音をたどって聞いてみると、新しい発見があると思います。

さらに、ベースの重要な役割として、曲のリズムやクルーヴ感(ノリ)を作っていきますので、ギターやキーボードがいないバンドは成立しても、ベースがいないバンドを成立させるのは難しいです。

豆知識6 知っているようで知らない、ギターのこと


ギターは、エレクトリックギターとアコースティックギターとに分かれますが、そのどちらも弦楽器ならではの豊かな表現力が特徴で、メロディを奏でることもできるし、落ち着いた音でコードを弾き、バッキングとして名脇役を演じることもできる、オールマイティーな楽器であることは周知の通りです。

アコースティックギターについては、楽器の形状や音については、ほとんどの方がご存知だと思いますが、エレクトリックギターについては、その存在は知っていても、音が鳴る仕組みなどを詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。

エレクトリックギターは、文字通り、電気を使って音を奏でる楽器です。形状や音も様々で、一般的で無難な音から、個性的でぶっ飛んだ音まで、多種多様な音が出せます。

しかし、ギターとアンプだけでは、多種多様な音を出すことは難しく、ほとんどのギタリストが、エフェクターという機材をギター本体とアンプとの間に設置して利用しています。

エフェクターには、各メーカーから相当数の種類が発売されており、このエフェクターを巧みに組み合わせて独自の音を創っていきます。

そのため、エレクトリックギターの音は、ギタリストのこだわり方によってはキャラクターが強く、オリジナリティあふれる音が作れるので、その音を聴いただけで、布袋さんの音だとかB’zの松本さんの音だとかがわかる場合が多いです。

そのようにエフェクターを利用することによって、1本のギターで様々な音を出すことができますが、ほとんどのギタリストは足元に音色切り替えペダルを置いており、曲中でもソロ部分はリード系の音、それ以外は歪みの少ないクリーンな音、というように、必要な音を切り替えながら演奏しています。

また、音色だけでなくボリュームやエフェクト効果などを段階的に変化させるためにペダルを使うこともありますので、ギタリストとは、一般的に派手なイメージがありますが、実はいろいろと細かな操作が必要なパートでもあります。

ギタリストの手元だけでなく、足元も注意して見てみると面白い発見があると思います。

6本の弦を上から下、または下から上へ一気に弾く、カッティングと呼ばれる奏法や、指版上で弦を引っ張って音程を変化させるチョーキング奏法などがあり、それらの奏法やエフェクターのことを頭に入れておくと、ギターの演奏が興味深く感じられるはずです。


豆知識7 リズムの要、ドラムについて


ドラムは、楽曲のリズム部分を担う楽器で、ドラマーそれぞれによって太鼓やシンバル類のセッティングが違います。

足元にあるペダルを右足で踏んで、バスドラムと呼ばれる大型の太鼓を叩くことと、スネアドラムと呼ばれる小型の太鼓をドラムスティックで叩くことで、音の基本的な組み合わせを作り、そこにハイハットと呼ばれる小さめのシンバルの音を刻みいれながらリズムパターンを奏でるのが、基本スタイルです。

ドラムセットを正面から見たときに右端にある上下2枚1組になっているシンバルがハイハットです。そしてそのハイハットのすぐ左にある小さめの太鼓がスネアドラムです。

左足では、ハイハットのペダルを操作し、これを踏むことで、上下のシンバルが重なり音が鳴ります。

また、ハイハットのべダルを踏んだ状態でスティックでたたいた場合をクローズドハイハット、ペダルを踏まない状態でたたいた場合をオープンハイハットといい、これらを組み合わせながら、音にアクセントを加え、ビート感を作っていきます。

その他のシンバルには、クラッシュシンバルやライドシンバルがあり、クラッシュシンバルは、「シャーン」というようなとても目立つ大きな音を出し、曲の盛り上がりを演出したりします。ライドシンバルは、どちらかといえば落ち着いた音で、リズムを刻むことに用いられることが多いです。ハイハットシンバルよりも柔らかく重厚な響きが特徴です。

ドラムセットの中で大きな容積を占めているのがタムです。バスドラムの上部から向かって左側にかけて、3~4個またはそれ以上のタムが並んでいます。

タムはそれぞれに音程をつけ、高い音から低い音のタムを順番に叩いて、曲調が変化する際のアクセントをつけたり、曲のエンディングの直前で連打したりして単調だったビートを引き締める役割もあります。

このタムは、ドラムセットの中では目立つ位置にありますが、スネアやバスドラムと比較しても使用頻度はそんなに高くはないです。

また、それそれのパーツについては、叩く位置や強さによっても音色が多様に変化します。例えば、スネアドラムの縁の部分のみを叩くことを、サイドスティックといい、この奏法はとても多用されているので、聴いたことがない方はいないと思います。音の特徴としては、「カッ、カッ」と細い木材を叩いたときのような音です。

通常のドラムセットに加え、ドラムパッドとよばれる電子ドラムを使用しているドラマーもいます。電子ドラムならではのシンセ系のスネア音をはじめ、その他いろいろな効果音を鳴らせるため、表現力の強化などのために導入するドラマーもいます。

ドラムという楽器は単純なようでいて、実はとても個性が出やすい楽器でもあります。まずは、ドラムセット自体が個人によって違うので、そもそも鳴る音が違いますし、叩き方やリズムの取り方が微妙に、あるいは大きく異なるため、単純な8ビートのリズムパターンを同じ譜面で別の人が演奏したとしても、すぐに個性が出てしまいます。

豆知識8 鍵盤楽器(キーボード)について


一般的にキーボーディストは何をしているのかがはっきりわかりにくいパートだと思います。

鍵盤楽器自体がシンセサイザーや電子ピアノ、オルガン等々いろんな種類のものがある上に、出せる音も非常に多岐にわたるため、これといった特徴がなく、なんでもできる「何でも屋さん」のような印象をもたれているのではないでしょうか。

キーボードは、基本的にほとんどの楽器音を奏でることができます。ドラムやベースなどの音も鍵盤から出せますので、極端な話、すべてのパートをキーボードで構成することも可能です。

そのように音の種類に関してはほぼ万能のように思えますが、鍵盤楽器の最大のデメリットは(メリットでもあるのですが)、音階外の音が表現できないということです。

鍵盤は、「ド→ド#→レ→レ#→……」と並んでいます。その場合、「ド」と「ド#」との間にも音は存在するわけですが、その音を鍵盤楽器は基本的に表現できません。

弦楽器であるギターやベースなどは、弦の伸び縮みやフレット(指板)でのスライド操作などによって、音階外の音程もある程度自由に表現できます。管楽器であるサックスなども同様に、音程変化の自由度は高いです。

キーボードの場合は、鍵盤の左端あたりにつまみ類が設けられていることが多く、これを操作することで音程を変化させ、音階外の音を表現することができるようになっています。

このつまみ類を利用すればある程度の表現力が出せますが、さすがにギターやサックス同様の表現力に追いつくことはできません。

まだ、ドラムのような打楽器もキーボードで演奏が可能で、一聴しただけでは、ドラマーが演奏しているように聞こえますが、キーボードで表現するドラムの音は、サンプリングされた音を再生しているに過ぎないため、無機質になりがちです。

実際のドラムの音は、強さやたたく場所、スティックの使い方などで音色が無数に変わりますが、キーボードでは主に音の大きさが変化するだけですので、本物のドラムの表現力には遠く及びません。

キーボーディストは、鍵盤楽器のピアノ、エレクトリックピアノ、オルガンなどはもちろん、全体を包み込むような和音や、曲のアクセントとなる効果音的な音など、自然界には存在しない音を自在に創ることができるため、現代音楽では欠かせない存在と言えるでしょう。


豆知識9 楽器の上手さとは?


楽器の上手さとは、結局のところ「安定感」だと思います。

例えばギターでオリジナリティあふれるフレーズや超速弾きができることも、もちろん、上手さなのですが、プロの上手さはそれだけではありません。

アマチュアでも練習を重ねることによって、プロの演奏に近く、譜面上では同じ演奏ができる場合は多々ありますが、YouTubeなどにアップされているコピーバンドの演奏とプロの演奏を比較すれば、アマチュアの演奏は何となく違和感や不安定さを感じると思います。

例えば、4分音符を4つ弾いた場合は、「タン、タン、タン、タン」のリズムとなりますが、一聴するとプロの演奏もアマの演奏も同じに聴こえます。

しかし、4分音符を弾くタイミング、強さ、長さなどを細かく数値化すると明らかにプロとアマは大きな差があり、アマはそれぞれがバラけていますが、プロはある一定の値に収束し、非常に安定感があります。

これは楽器だけでなくボーカルでも同様です。

たとえカラオケで歌が上手いと思うお友達がいたとしても、それは、もともとの声の良さやチョットしたボーカルテクニックによって「上手い」と感じさせている場合があるため、プロの歌手と聴き比べると圧倒的な違いがあるはずです。

その圧倒的な違いを生じる理由としては、プロならではのヴォーカルトレーニングによって培われた「安定感」があります。「安定感」とは、見えにくい部分だからこそ、素人では簡単に真似することができず、そこが、プロとアマの大きな隔たりとなっているとも言えるでしょう。

ヴォーカリストや楽器演奏者のプロとしての上手さを感じられるようになれば、ライブやライブアルバムなどの鑑賞も、もっと楽しくなるはずです。

なお、最も安定した演奏となれば、それはコンピューターを利用した自動演奏になると思いますが、自動演奏の音として、とてもわかりやすい例は、「カラオケ」です。カラオケに行ったときは歌に集中しているので、演奏などの音を細かくチェッ クすることはないとは思いますが、カラオケの演奏音は、どんなジャンルの曲を選択した場合でも単調で変わりばえしない感じがしませんか。

現在ほどんどのカラオケの演奏システムは、サンプリングされたそれぞれの楽器音が収録された音源に対し、発音のタイミング、長さ、強さなどをコンピューターが指令することにより、自動演奏されています。

その場合、カラオケ機器内の楽器音の種類に限りがあるために、様々な曲で同じ音色が使われることとなり、単調になりがちな原因となっています。

また、特に弦楽器や管楽器は、自動演奏では表現の幅が狭く、人間が演奏した音と比較すると、かなりの違和感があるため、エレキギターやサックスの音を注意して聴いてみると、自動演奏独特の音となっており、「人間の演奏ではない」ということが比較的簡単に判別できると思います。

豆知識10 音楽をよりよく愉しむために


ここまで、僭越ながら色々と音楽や楽器のことについて述べてみました。

音楽はオーディオ機器のPlayボタンを押せばだれにでも聴くことができ、楽しむことができるので、特に音楽的知識は必要ないのですが、これまで述べてきたような、ちょっとした豆知識があるだけで、同じ曲でも別の角度から聴くことができ、楽しみ方が大きく拡がります。

普段何気なく聴いているのが音楽だと思いますが、ご自分で聴く曲を選択したとき、なぜその曲を聴きたくなったのか、なぜ好んで聴いてしまうのかについての理由はあまり考えることがないと思います。

それは、単に個人的に好みだったからと言えばそれまでなのですが、一般的に、売れる曲とは、歌詞の内容やコード進行、楽器編成や曲のテンポ、アーティストのキャラクターなど、様々な要素をプロデューサーを中心に、綿密な戦略が練られていると言われています。

そのため、何も考えずにいると、そのように戦略化された音楽につい手が伸びてしまいがちで、そんなときは知らない間にレコード会社のマーケティング戦略に乗せられているのかも知れません。

しかし、大勢の人に人気があり、商業的にも成功し、かつ、音楽通にも人気が高いアーティストもいますから、マーケティング戦略だけでは、人気の理由を結論付けることはできません。

もし、みなさんの周りに、マイナーなバンドやあまり知られていない楽曲などを好んで聴いている人がいたとしたら、その人は、音楽を本格的に学んでいるか、上記のような各楽器を個々に意識したり、常日頃から音楽そのものに興味を持っていて、音楽の表面部分だけではなく、深く聴きこむことで、いろいろな発見をしながら聴いているのではないかと推測されます。

あんまり売れていないような無名のアーティストや曲にも根強いニーズがあるのは、単に好みの問題だけではなく、音楽的な理解度の違いによっても嗜好性が変わってくるからでしょう。

そうは言っても、結局のところ、音楽は「音を楽しむ」ものですから、料理を食べて「おいしい」と思えばそれでいいように、音楽を聴いて「楽しい」とか「とてもいい気分」になればそれが全てだとは思います。

ですが、料理にしても、食材や調理法についての知識があり、自分でも料理を作っている人は、「おいしい」の意味が違ってくるようで、それは、言いかえれば舌で味わうことと同時に脳でも味わうことができているために、料理のおいしさを別の角度からも感じ取っていて、料理に詳しくない一般の人よりも、深く味わうことができているのでしょう。

音楽においても同様で、耳で聴くと同時に脳でも聴くことで、音楽の理解が深まり、新たな愉しみ方ができるようになると考えます。

そのためには、ぜひ、今回ご紹介したような、個々の楽器についての情報や、コード進行、アレンジの素晴らしさ、ボーカリストや演奏者の力量などを少しでも意識しながら音楽を聴いてみて、そのことで、皆様の音楽を聴く楽しみが10倍に、あるいはそれ以上になるのであれば、筆者この上ない喜びです。


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