松本人志の凄さを堪能したいなら“ダウンタウンDX”を観よ!

多くの人から天才芸人と称されるダウンタウンの松本人志だが、それは過去の功績が大きいように思う。現時点で彼は、バラエティや情報系のテレビ番組に出演し、コメントをする仕事が主だっている。もちろん、出演番組についての企画・構成を担当する場合もあり、裏方としての天才ぶりは今も健在である。

しかし、漫才やコントをはじめ、映画などの映像作品等、クリエイティブな活動と言う意味では近年、amazonの「ドキュメンタル」以外に目立った代表作は皆無に等しい。

”ガキの使い”では、フリートークコーナーが復活したが、既に芸能界で高い地位を獲得したダウンタウンは、かつてのような冴えた笑いを提供するのは難しいようだ。テレビ界におけるコンプライアンス重視の影響もあるのだろう。


それでも、彼の天才ぶりは現時点においても遺憾無く発揮されている。特に注目に値するのが、意外に思われるかも知れないが、雑多なバラエティ番組“ダウンタウンDX”である。

ダウンタウンDXのようなバラエティ番組では、浜ちゃん主導のイメージが強いが、この番組では進行の役割を担っているため、浜ちゃんはゲストからトークを引き出したり、補足したりすることも多く、必ずしも”笑い”を発生させるツッコミばかりを連発はできない。

そこで、ダウンタウンDXにおいての”笑い”の部分は、その多くを松本が創りだしていると言える。以前は、松本がボケて浜ちゃんがツッコみ、そこで笑いが生じるパターンも多かったが、スピード感が求められている現在では松本がボケ型のツッコミをして、笑いを起こし、完結させることが多くなっている。

しかしコレ、簡単にやっているように見えるが、彼以外で同様にできる人は限られているだろう。この番組は芸能人だけでなく、スポーツ選手の他、多種多様な著名人が出演する。そのため、必ずしもすべて人が面白い発言をするとは限らない。たいして面白くないエピソードトークに対しても、瞬時に笑いのポイントを見つけだし、的確なツッコミをして爆笑をさらっていく。その様は、お笑い界におけるイチロー的な存在と言ってもいいだろう。

ヒットを量産するイチローは天才だが、一枚の絵で芸術を革新したピカソも天才だ。現在の松本人志は、イチロー型の天才だろう。コント作品や映画制作等に力を注いでいた時期のように、笑いをとことん追求した彼の作品を、今一度見てみたいと考えているファンは多いはず。以前のようなピカソ型の天才ぶりも久々に見せてほしいものである。


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