関ジャムで紹介されたアーティストは本当にスゴイのか?

日曜夜にテレビ朝日系にて放送されている「関ジャム 完全燃SHOW」では、音楽に関する事柄を幅広く扱っている。時には、マニアックなテーマを掲げ、それを一時間たっぷりと掘り下げる企画の回もあり、音楽制作の趣味を持つ筆者としては、いつも楽しませてもらっている。

視聴率至上主義とも言える現在のテレビ業界で、ゴールデンタイムではないものの、ベースやドラムの奏法など、一般の方には馴染みのない専門的な内容を取り扱う、この番組の姿勢は挑戦的とも言える。

しかし一見、楽器の奏法やコード(和音)理論などは専門的で取っつきにくいが、一般の方でもそれらの知識があれば、音楽鑑賞のレベルが上がり、音楽を聞く楽しみは深まっていく。だからこそこの番組は、音楽マニアだけでなく、一般の音楽好きな方も一緒に楽しめるのだろう。


さて、表題にて掲げた「関ジャムで紹介されたアーティスト」とは、この番組の名物企画となっている音楽プロデューサーが選ぶベストアーティストのことである。音楽プロデューサーとして、蔦谷好位置氏といしわたり淳治氏、さらにもう一名のプロデューサーを加えて、それぞれが厳選した新譜をランキング形式で紹介してくれる。

近年では、ここで紹介されたアーティストが次々とメジャーになる傾向にあり、スタジオゲストのサバンナ高橋は、この企画にピックアップされ売れる現象をアメリカンドリームならぬ「関ジャムンドリーム」と称しているほどだ。

しかし、ここまでこの企画の価値が高まってしまうと、選考する蔦谷氏やいしわたり氏に各アーティストからの売込みや接待などが横行しないか心配にすらなってくる。やはり、公平性を保ち、新鮮さを失わないためにも、選考にあたるプロデューサーは固定化しないほうがいいだろう。

そもそも、蔦谷氏やいしわたり氏は評論家ではなく、音楽制作に携わるプロであり、本来であれば、自身で制作した楽曲をこの企画で紹介されたい立場でもあるだろう。だからこそ、この企画から一旦離れることで、選考される側に回れば、自身の携わった楽曲が紹介される喜びも味わうことができるだろう。

また、選考にあたるプロデューサーが固定されてしまうと、どうしても偏ったランキングになってしまいがちであるし、蔦谷氏やいしわたり氏だって、まだまだこれから実績を積み上げていくべき人達である。正直言って現在、蔦谷氏やいしわたり氏が、プロデューサーとして万人から「凄い」と言われている立場ではないため、そのプロデューサーたちが選ぶアーティストは必ずしも「凄い」とは言えないだろう。

今後の希望としては、すでに実績が豊富な大物プロデューサーやアーティストが選ぶベストアーティストもぜひ見てみたいし、蔦谷氏やいしわたり氏だけでなく、他の中堅プロデューサーの意見も聞いてみたいところである。プロデューサーをコロコロと変えてしまうと、企画の軸がブレるという声も挙がりそうだが、そこは、いいさじ加減で一貫性を持たせながら、プロデューサーを上手に入れ替えるなどして対応してほしい。

どちらにしても、この企画がマンネリ化することなく、いつまでもワクワクしながら見続けたいので、常にバージョンアップを図ってほしいと願っている。


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